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客業生産理念を裏付ける提言

筆者は本ココログで客業生産理念を訴えてきた。客業生産の経営理念として「EEC-S」の理念とは、「顧客満足」「地球環境満足」「従業員満足」を高めるという理念である。このアピールが、5月2日発表の社会経済生産性本部の「企業倫理向上へ8項目提案」により裏付けられたと感じている。詳細を以下に示す。

企業倫理向上へ8項目提案 社会経済生産性本部
産業界や労組関係者などでつくる財団法人 社会経済生産性本部 は2008年5月2日、企業倫理の向上を促す報告書「尊敬される企業経営を目指して」を発表した。「経営理念を確立し、従業員に浸透させる」など8項目の提案を示す一方、経営に関する45項目のチェックリストを作成し、企業に活用を求めている。報告書は企業の不祥事が多発する現状を踏まえ、生産性本部内の「経営の志を高め倫理を推進する国民会議」が取りまとめた。それによると、企業理念を確立するには、「顧客価値」「従業員価値」「社会価値」「経済価値」を全て高めることが重要と指摘し、経営者は常に社員と対話するように求めた。

経営の志を高め倫理を推進する国民会議 報告書
~尊敬される企業経営を目指して~ 財団法人 社会経済生産性本部
財団法人社会経済生産性本部(理事長 谷口 恒明)は2006年7 月にわが国産業界を中心に組織倫理の向上を推進するため、「経営の志を高め倫理を推進する国民会議(志・倫理推進会議)」を設立し、2007年7月に「経営の志と倫理」実態調査を実施し発表した。
当会議は調査結果をもとに議論を行い、法令遵守のレベルにとどまる企業経営を超えて、高い志を持ち尊敬される企業経営を目指すための8項目を取りまとめ、あわせて自社の現状を把握するための自己チェックリストを提案する。

<報告書の3つの狙い>
1.企業経営者に対し、社会が求める高次の価値を実現する経営に挑む志と意欲を鼓舞する。
2.企業経営の原点であり、市場経済の基礎である企業倫理の確立と実践を促す。
3.企業内の「信頼」を再構築する。信頼の絆は経営力を高め、現場力を培う礎石である。
⇒上記3つの狙いを達成していくためには、経営者の高い志が不可欠である。

<8つの提案>
1.高い倫理観のもと、企業価値向上に向けた経営理念を確立し、従業員に浸透させる。
2.地球環境保全のための対策を、企業経営の重要課題として企業内に定着させる。
3.経営理念実現にむけて最適・効率的な経営システムを確立し、柔軟な経営管理を実践する。
4. 情報公開等を通じて企業経営の透明性を高めるとともに、社会貢献に協力する。
5. 企業内に倫理上の自浄作用を高める仕組みをビルトインする。
6. 倫理教育の充実、人間性の充実を図る能力開発を強化し、人材育成に力を入れる。
7.国際上の企業倫理ルールを尊重し、国際的な企業行動の改善に貢献する。
8.コーポレートガバナンスや企業倫理の評価基準・評価方法を改善し、効果的運用を図る。

2.経営の志を高め、倫理を推進するための8つの提案
我々は、企業経営者が経営の志を高め、倫理を推進し、現在直面している経営課題を解決し、より質の高い経営を実現するために、以下の8つの課題を提案する。
第1.経営者は高い倫理観のもとに企業価値を高めることが経営の究極の目的であるとの認識を有し、その実現に向けた経営理念を確立し、従業員に浸透させること。
①企業価値は、ただ単に収益をあげることのみにあるのではない。経営者は絶えず顧客や消費者が何を求めているか、そして広く社会が企業に何を期待しているかに応えなければならない。その上で、企業が顧客価値、従業員価値、社会価値および経済価値の全てを向上させることが重要である。
②経営者はこうした認識のもとに、自らの思想と倫理観を経営理念に集約し、具体的に明文化するとともに、社内全員がこれを十分に理解し実践するよう、経営者自らが絶えず社内で対話し、その趣旨を徹底する努力を続けなければならない。
第2.地球環境の保全が人類の生存のために緊要な課題となっていることから、そのための対策を企業経営の重要課題として企業内に定着させること。
①地球環境の保全は今や重要な社会価値になっている。地球環境を保全し回復するため、国際的に設定されたルールを遵守し、目標を達成しなければならない。同時にあらゆる英知を結集して、地球環境保全のために最善の行動をとる必要がある。
②経営者はあらゆる経営資源を結集して、地球環境保全と資源エネルギーの効率利用につながる技術開発、商品開発、生産手段の改善に取り組むとともに、環境重視を経営管理の最重点課題とする必要がある。
③全企業が地球環境の保全を地球上の共通課題として取り組めるよう、国際合意の形成に努力するとともに、柔軟でかつ効果的な国際ルールの設定に協力する必要がある。同時に課題解決のために海外企業との協力を展開すべきである。
④経営者は地球環境についての認識を深めるとともに、企業の取り組みに関する情報公開に努めるべきである。
第3.経営者はその経営理念を実現するため、最適かつ効率的な経営システムを確立し、柔軟な経営管理を実践すること。
①経営者は、社会が期待する企業価値を実現するために、国内外の他の企業が採用しているからということではなく、真に自社にふさわしいかどうかを判断し、柔軟かつダイナミックな経営システムを確立し、その効果的な展開を図るべきである。
②経営者は、変化する社会のニーズを適確に捉えるよう、社外の意見を吸収するメカニズムを活用する必要がある。
③労使関係を通じて切磋琢磨する緊張感を持つことが経営を革新する上で有効であり、そのための仕組みの効果的運用を図ることが好ましい。
④経営者は、その経営理念が企業内に浸透し、実現しているかを定期的にチェックする仕組みを導入し、経営の反省と改革に活かさなければならない。
⑤経営システムを円滑に運用するには、情報の共有が不可欠である。トップとミドル、トップと現場、ミドルと現場の間の意思疎通や一体化を図るコミュニケーションが重要である。
第4.情報公開や社会との対話を通じて企業経営の透明性を高めるとともに、広く社会貢献に協力すること。
①社会が企業を公正に評価するために、企業は経済的側面および社会的側面にわたる他社との比較可能な情報提供に努めなければならない。CSR 報告書や環境報告書の充実を図ることは、企業経営を可視化する上で有効である。
②社外との対話、社外からの情報収集を担当する専門部門や担当責任者を置く企業が増加している。そのようなチャネルは、企業経営の透明性を高め、経営を革新する上で有効である。
③経営者は、社会が企業に求める倫理観を鋭敏に感得することが必要である。世論の動向や社会意識を絶えず把握し、企業倫理向上に結びつけることが必要である。
④ボランティア活動やメセナ活動を通じて、企業活動で得た利益を社会のニーズに応えて還元し、社会の進化に貢献することは、企業の社会価値を高める有効な手段である。
第5.企業内に倫理上の自浄作用を高める仕組みをビルトインすること。
①倫理綱領の設定、倫理委員会の設置と活動、ヘルプラインの整備など、社内倫理意識の高揚を図る仕組みを導入することは、企業倫理の自浄作用を高める上で有効である。
②法令遵守はもとより、広く企業倫理に係る行動については、適格に内部統制を実施し、その評価を人事制度にも反映することが必要である。
③不祥事発生に備えて、危機管理のための対応を準備しておくとともに、こうした事態が発生した場合には、トップが率先して対応すべきである。
第6.倫理教育の充実はもとより、人間性の充実を図る能力開発を強化し、人材育成に力を入れること。
①組織の盛衰はリーダーの器によって決まる。経営者は、リーダーシップを発揮するために、絶えず自己の資質と能力を磨き、国際的視野を拡げ、人格を高めなければならない。
②企業倫理の向上は、人材の資質に係っている。経営者は、各自の資質向上を促すとともに、倫理教育を社内で徹底しなければならない。
③トップ、中間管理層、現場の各部門に応じて人材育成のための教育システムを企業内に定着させるとともに、能力と経験に即した人事配置、成果に対する適正な評価、仕事を効率よく展開する経営システムが不可欠である。
④中間管理層の能力は企業の活力の高揚に不可欠である。中間管理層に期待されるものは、社会や市場への知的なアンテナ機能や内外との信頼醸成能力であり、価値創造のチャレンジ力である。
第7.海外事業を展開するに当り、国際上の企業倫理ルールを尊重し行動するとともに、国際的な企業行動の改善に貢献すること。
①国際的なルール、例えばWTO やILO の規定、あるいはOECD の国際企業行動基準や各種の国際標準などを尊重して行動しなければならない。
②日本企業が海外事業を展開する場合、現地のルールや文化、慣習を尊重し、現地化に努めなければならない。
③特に発展途上国においては、現地における企業倫理上の模範となる行動を取るべきである。
④地球環境を解決する見地から国際的なルール、現地の政策に適合するのみならず、省エネルギーや温暖化ガス排出削減に向けて、行動することが肝要である。
第8.経営の志を高めるコーポレートガバナンスや企業倫理の実践について、評価基準や評価方法を改善して、その効果的運用を図ること。
①企業の経営の質を高め、社会の期待に応えていくために、社会の意識や市場の評価を把握し、修正すべき点を経営に反映させていく必要がある。
②研究機関や評価機関が企業のパフォーマンスや企業の社会的責任、社会的責任投資などについて評価を行い、場合によってはランキングを付しているものがある。その評価手法などを十分検証した上で、それを反省の材料として活用することが望ましい。
③本会議はアンケート調査をもとに、「経営の志と企業倫理」についてのチェックリストを作成した。これらを参考にして、経営改革の参考とすることを期待している。

自社の現状を把握するための自己チェックリスト
企業経営者が自社の現状を把握するための自己チェックリストを作成した。このチェックリストを活用し今後取り組むべき課題の発見に結び付けていただくことを期待する。チェックは45問。各設問に複数の選択肢あり。設問の一部は選択肢にA,B,C のランクをつけている。詳細は報告書本文を参照。
【01】 企業理念の明確化
【02】 企業理念の徹底方法
【03】 企業経営の目標設定
【04】 企業経営計画における重点
【05】 社外からの経営上の意見の反映
【06】 社内からの提案や意見の提出
【07】 労働組合とのコーポレートガバナンスについての意見交換
【08】 情報公開の統制
【09】 情報公開の態様
【10】 外部からの苦情、不満の吸収
【11】 個人情報保護
【12】 企業収益と企業倫理観が相反する場合の選択
【13】 顧客価値の把握と充足
【14】 国内で提供しているサービスや商品の安全基準
【15】 海外で提供しているサービスや商品の安全基準
【16】 顧客からのクレームの社内処理
【17】 不都合な情報開示後の行動
【18】 不都合な情報開示後のマスコミ対応
【19】 残業の取り扱い
【20】 ハラスメント(パワハラ、セクハラ等)への仕組み
【21】 メンタルヘルスに対する仕組み
【22】 ワークライフバランスに対する取り組み
【23】 企業倫理の基本的な考え方
【24】 コンプライアンスの確保または企業倫理向上のための仕組み
【25】 専門部門または倫理委員会で決められた内容等の活用
【26】 従業員及び関係会社を対象とした倫理実態調査
【27】 倫理調査や倫理監査の結果の経営への反映
【28】 社内ヘルプライン
【29】 社内ヘルプライン等で発見した課題の経営への反映
【30】 役員クラスに対する倫理研修の実施
【31】 管理職層に対する倫理研修の実施
【32】 一般社員層に対する倫理研修の実施
【33】 非正規社員に対する倫理研修の実施
【34】 環境問題に対する取り組み姿勢
【35】 環境問題に対する取り組み方法
【36】 贈答や接待に対する取り組み
【37】 メセナやボランティアなどの社会貢献活動
【38】 地域社会に対する貢献
【39】 企業の経営目標設定
【40】 経営システムの効率化
【41】 企業力の拡大
【42】 技術力の充実
【43】 知的財産の侵害防止
【44】 知的財産戦略
【45】 談合や優越的地位の乱用についてのチェック機能

以上の通りであるが、筆者の提唱の客業生産理念がまさに裏付けられている。さらに客業生産については、拙著「チェックリストによる 少量・短納期生産 モデル縫製工場 実践ガイド」(繊維流通研究会刊)において詳述を行っている。

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